昨年9月のイベントで「来年発売」と発表されたものの、公式に続報がないまま1年が過ぎたアップルのワイヤレス充電マット「AirPower」。それが今年のスペシャルイベントで言及されなかったばかりか、アップルの公式サイトから痕跡がほぼ消し去られたことが明らかとなりました。
iPhone XS/XS Max/XRの名称が発表前に公式リークを招いたサイトマップxmlファイル内にURLリンクが見当たらないことから「まだ発売されない」までは予想できましたが、まさかの存在抹消。今後の見通しは不明ですが、近日中にリリースされないことは確実のようです。
数日前までは公式サイトの数カ所でAirPowerの画像は確認できましたが、スペシャルイベント後にはきれいに一掃。米アップルサイト内でわずかにAirPodsのページに生き残っており、同社の商標リストでも一応は掲載が消えてないと報告されています。
新iPhoneは3タイプともワイヤレス充電対応ですが、スペシャルイベントのキーノートでは、その点は不自然なほど触れられていませんでした。アップルのインサイダー情報でお馴染みDaring FireballのJohn Gruber氏も、「AirPowerが発表できないせいで、XSやXRはXより速く充電できるのに、ワイヤレス充電に言及しなかったんだ」との趣旨をツイートしています。
AirPower must be well and truly fucked. No one at Apple will say a word about it, even off the record. And as a result they didn’t even mention inductive charging during the event, even though the XS and XR both charge faster than the X.
— John Gruber (@gruber) 2018年9月12日
iPhoneやApple Watchなど複数のアップル製品を同時に充電できるAirPowerは、高機能ゆえに技術的な困難が大きく、開発が難航していることがたびたび伝えられていました。
今年6月には米Bloombergが、当初は6月までの発売予定が9月前後に延期されたとの噂を報道。さらに8月には中国語サイトのChongdiantouが9月リリース予定としていましたが、デバッグ作業が間に合わなかったとも推測されます。
米ZDNETによれば、複数のアクセサリーや充電ビジネス関係者が、口をそろえて「AirPowerは野心的すぎる。アップルはiPhoneとApple Watch、2つの異なるワイヤレス充電方式を両立するオールインワンの充電器を開発する困難を抱え込んでいるんだ」と言っているとのこと。
アップルがAirPowerが人々の記憶に蘇ることを避けているのは確かなようですが、それはあくまで現時点でのこと。やはり今回のイベントでは姿を見せなかった新iPad Proや噂の低価格MacBook Airとともに、10月あたりに予想される発表イベントでお披露目されるかもしれません。