『Gather Round.』アップルスペシャルイベントより。噂されていたiPhone Xの改良型がついに発表されました。5.8インチ版のモデル名は『iPhone XS』となりました。焦点だった発音は「テンエス」となります。さらに6.5インチモデル『iPhone XS Max』(テンエス マックス)も同時発表となりました。
両モデルとも、カラーバリエーションはシルバーとスペースグレイ、そしてウワサのゴールド。ストレージ容量は、64GBと128GB、そして新設された512GB(前世代は256GB)の3種類です。
日本での予約開始は9月14日の16時01分から、発売(出荷)は9月21日。
アップル直販一括価格は、XSの64GB版が11万2800円、256GB版が12万9800円、512GB版が15万2800円(それぞれ税別)。
XS Maxは64GB版が12万4800円、256GB版が14万1800円、512GB版が16万4800円(同)となります。
米国ではXSが999ドルから、XS Maxが1099ドルからという設定です。
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本体サイズと重量は、注目のXS Maxが縦長状態で77.4×157.5×7.7mm(幅×高さ×厚さ)/208g。iPhone 8 Plusが78.1×158.4×7.5mm/202gなので、サイズ感は(やはり)ほぼ8 Plusと同等。重量は若干ですが8 Plusより重くなります。
XSは70.9×143.6×7.7mm/177gとサイズこそXと同じですが、ガラスの改良からか重量は3gアップしています。
噂に上っていなかった点で大きな特徴としては、防水性能が「IP68」相当にアップしました(iPhone Xと8系はIP67という値)。アップル側は「2mの水深に30分置いても耐えるレベル」とアピールします。
また水以外の液体に対する耐久性も高めており、開発時は、ワインやビール、ジュースでのテストも行なったとの情報も公開されました。
さらに画面側と背面のガラスも、Xに比べてさらに耐久性を向上させたと謳います。
ディスプレイパネルに関しては、両モデルともXで初採用された有機EL『Super Retina Display』を継承。気になる表示解像度は、XS MaxがiPhone最高となる2688 x 1242で、画素密度は458ppi。iPhone XSはXと同じ2436×1125、458ppiという仕様。両モデルとも画素密度はピッタリ合わせています。
なお隠れた特徴として、タッチパネルのスキャンレートを120Hz(秒間120回)に高速化した点も挙げています。
心臓部として採用されたSoCは『A12 Bionic』。A11 Bionicと同様に、AI関連機能を重視する意の「バイオニック」の名を関したものとなります。
半導体としての消費電力や性能に大きく関わる半導体製造プロセスは、SoCとしては世界初となる7nm級を採用。トランジスタ数はなんと69億個と、スマートフォン用SoCでは非常に多い数となります。
CPU部は6コアで、4つの省電力コア(アップルは「効率コア」と呼称)と2つの高速コアの組み合わせをA11より継承します。
ただし製造プロセス世代が進んだこともあり、性能は当然ながら大幅に強化。
CPU部の特性はコアごとに分けられており、速度を重視する高速コア側はA11比で最大15%高速となり、電力消費を低減する省電力コアはA11比で最大50%の消費電力減――とアピールします。
昨今のゲームではCPUより重要視されるGPUコアも、A11 Bionicより50%高速化します。
さらに、AI処理を司るニューラルエンジンは8コアを搭載。1秒あたり5兆の命令を処理可能とアピールします。開発にCore MLを使った場合、A11比で9倍の処理能力を10分の1の消費電力で達成するとのこと。AI関連プロセッサは進歩が著しい分野ですが、一気に性能を上げてきた印象です。
こうしたSoCの総合的な性能向上と、RAMやストレージ速度の向上により、例えばアプリの起動速度やマルチタスク時切り替えでは、従来機に比べて最大30%高速化した点をアピールします。
バッテリー駆動時間もしっかりと延長。XSが「Xより30分長い」。XS Maxに関しては、「Xより1時間30分長い」と、長時間駆動を謳います。
ライバル各社の追撃を受けるカメラ部は、Xより広角+望遠レンズのデュアルカメラモジュール構成を継承。基本仕様もXと変わらず、画素数はそれぞれ1200万、レンズの明るさ(F値)は広角側が1.8、望遠側が2.4に留まります。
しかし、実際の画質に関しては、イメージセンサーを一新(All-new)した点と、A12側の画像処理エンジンの速度向上により、新機能の搭載とさらなる画質向上をアピールします。
HDR処理はSmart HDRに強化。重ね合わせ処理時により高度な演算を行なう点などで、さらに白飛びや黒つぶれを防いだ写真が撮影可能とのこと。合わせてシャッターのタイムラグも低減し「ゼロシャッターラグ」を謳います。
ポートレートモードは背景のボケ方を仮想的なF値設定で操作できるようになり、また処理もA12の速度を活かすことで、境目などがさらに自然になった「Advaced Bokeh」仕様に。
合わせて、A12の高速化は、動画でのリアルタイム画像処理に威力を発揮。リアルタイムでフレームごとに行なう補正処理をさらに高度化した点や、イメージセンサーからのデータ読みだし速度が2倍に上がった点(による画像処理の高度化)などにより、ダイナミックレンジを拡大しています。
また、正面のTrueDepthカメラもやはりイメージセンサーを高速化するなど、さらに強化しています。
LTE通信に関して大きなトピックとなったのが、ウワサになっていたDSDS(デュアルSIM、デュアルスタンバイ)に対応する点。ただし、物理的に2枚のSIMを搭載できるのは、こちらもウワサ通り中国版モデルのみ。基本はiPadなどと同様、物理的なSIMとeSIMとの組み合わせになります。
このようにiPhone XSとMaxは、蓋を開けてみれば、iPhone Xの基本性能や機能を全面的に改良した、良い意味で昨今のiPhoneらしい力の入ったモデルという印象。さすがに価格もそれなりに高価ですが、それでも「さらに強力なiPhone X」という点は大きな魅力でしょう。
とくに画面の大型化とバッテリー駆動時間の延長も同時になさえるXS Maxは、やはり予想通りではありますが人気機種となりそう。今から登場が楽しみです。
なお、アップルスペシャルイベントの詳細は、下記記事もご覧ください。