当面、7nmプロセス製造が可能なファウンドリ(半導体メーカー)は、新iPhoneのA12チップ(仮)生産を担当するTSMCだけに限られるとのこと。競合他社は7nmチップ量産を延期するとされ、iPhone以外のスマートフォンへの採用は少し先のことになりそうです。
半導体生産における「製造プロセス」とは、回路線幅のこと。10nmや7nmといった数値は回路線幅の微細さを意味しており、小さくなるほど搭載トランジスタ数が増えてスピードも上がる一方で、電気抵抗も減少して消費電力も低減。ざっくり言えば「同じアーキテクチャのチップであれば、7nmプロセスは10nmプロセスよりも速度向上かつ省電力化を図る上で有利」ということです。
台湾の製造業界誌DigiTimesによると、10nm以下のプロセス製造に必要な投資額は「非常に高い」とのこと。たとえば中国企業のHiSiliconは、7nmプロセス技術を使用したチップ生産には少なくとも3億ドルかかると発表。そうした莫大な設備投資を見越して、多くのファウンドリが投資ペースを遅らせていると報じています。
スマートフォン向けSoC生産の大手QualcommとMediaTekの両社とも、7nmチップ量産を予定していた2018年から2019年に延期したと見られるとか。その代り、14/12nmソリューションを展開し、ミドルレンジの上位製品を強化する方向に進んでいるそうです。
歴代iPhoneに搭載されているAシリーズプロセッサを例に取れば、iPhone XのA11チップが10nmプロセスで、新iPhoneのA12チップ(仮)が7nmプロセス(推定)です。2つの性能差については「マルチコアの処理速度が25〜30%アップ、バッテリー持続時間も大幅に改善」という予測が報じられていました。
iPhone XのA11チップは発売から約1年を経ながら、ベンチマークで他社の最新ハイエンド端末と互角か、項目によっては上回る大健闘を見せていました。それより進化したA12(仮)搭載と見られる新iPhoneは、処理速度やバッテリー持続時間でも十分な満足感をもたらしてくれそうです。