
CUPERTINO, CA – OCTOBER 27: Apple CEO Tim Cook speaks on stage during an Apple product launch event on October 27, 2016 in Cupertino, California. Apple Inc. is expected to unveil the latest iterations of its MacBook line of laptops (Photo by Stephen Lam/Getty Images)
Appleが、Akonia Holographicsを買収した。拡張現実用の導波路レンズを作っているデンバーのスタートアップだ。このニュースを最初に報じたReutersに対して、Appleが買収を確認した。
Appleからの詳細説明は例によってないが、同社が拡張現実用の軽量ヘッドセットの開発を支える技術に投資していることの、これは明らかな確認だ。Appleが数年以内に消費者向けARグラスを発売する、という噂や報道は数年前からいろいろとあった。
2017年に本誌TechCrunchは、Appleが混成現実のヘッドセットを作っているVrvanaを買収したことを報じた。同社のデバイスは、ふつうの不透明なディスプレイの上で透視型の拡張現実を提供した。しかし今回の買収は、Appleの消費者向けARデバイスが、頭にかける、ないし、かぶるタイプのものであることを、示しているようだ。
導波管(ないし導光板)ディスプレイは、拡張現実ヘッドセットの光学技術のデファクトスタンダードになっている。種類はいくつかあるが、基本的に共通しているのは、画像がガラスの横へ投光され、エッチングなどレンズの中の不規則性によって反射し、最終的にはその画像をユーザーの目に投光することだ。Magic LeapやMicrosoftなどが売っているARヘッドセットも、導波路レンズを使っている。
人気があるのは、薄くておおむね透明なデザインが可能だからで、ただし色の再現性と、ディスプレイが大きくなると像が歪む、という問題がある。Akoniaのマーケティング素材は、同社の“HoloMirror”が、“生き生きとしたフルカラーでワイドな視界の画像を表示する”、と言っている。
Crunchbaseによると、同社はこれまで1160万ドルを調達している。
Appleの大手コンペティターたちは、その多くが、ARヘッドセットの実験をすでに行っているが、Appleはあくまでも、スマートフォン上の消費者向けARにこだわってきた。それは、目の前の空間に合わせて、それらの面の上に解説情報などのデジタルオブジェクトを“投射する”技術だった〔例: 観光・名所案内など〕。
AppleのARKit
AppleのARでまだはっきりしないのは、それがMagic Leapのようなヘビー級のハイエンド路線で行くのか、それともユーザーに通知を表示したり、軽い対話を可能にする、いわば“頭に着る”Apple Watchのような、おとなしい製品になるのか、だ。
しかし導波路レンズの技術は視野角が大きくなくて、ウィンドウも小さくなるので、今後画期的な新技術や超長期の開発プロジェクトが出現しないかぎり、AppleのARは後者の路線で行く、と予想できる。